もうひとつの別の禅の話をしよう

来る10月5日、世田谷美術館の佐々木宏子さんの個展会場で、フリーランス編集者の赤田祐一さんとトークショーをします。

赤田さんは先月(2014年8月)末に発売された雑誌『Spectator』第31号「禅」特集を担当されたばかり。前・後編にわたる『ホール・アース・カタログ』特集につづく画期的な特集で、20世紀アメリカ文学と禅の関係から、現代人の意識と生活の中にあるべき禅について、ビギナーにも楽しく面白く、そして興味深く読ませてくれるまさにマインドフルな内容でした。

初夏に別件をお願いするためにお会いしたときに、いま禅特集を準備しているんですよと切り出しながら、僕が以前住倉良樹の筆名で翻訳した『時空のサーファー』を鞄から取り出されたのにうれしく驚かされたので、今回のトークショーの企画をお手伝いするにあたって、赤田さんをお招きすることにしました。

今回、佐々木宏子さんは登壇しませんが、著書『現代美術と禅』でよく知られている通り、古今東西の芸術のなかに禅の精神を見出し、それを自身の青いモノクローム絵画という独自の表現として貫いてきました。
おそらく、赤田さんと僕は同時期にアメリカの雑誌や音楽に触れながら対抗文化から逆輸入されたZenと出会うことで、90年代にそれぞれ『Quick Japan』と『美術手帖』という雑誌で、世界や物事の本質に触れようとしてきたのではないかと考えます。20年の時を経た今、群盲が評してきた巨象としての禅に迫りたいと思います。編集者の与太話に終始するかもしれませんが、絵画的本質の探求者として禅スピリットに溢れる佐々木宏子さんの作品に触れていただくきっかけになれば幸いです。


「青のあいだ 2011-2014 佐々木宏子」
東京展

 会期=2014年9月30日(火) -10月5日(日) 10-18時(最終日のみ16時まで、月曜休館) 入場無料
 会場=世田谷美術館 区民ギャラリーB
 主催=佐々木宏子展実行委員会
 後援=世田谷区教育委員会
トークショー「もうひとつの別の禅の話」
 日時=2014年10月5日(日)14-15時
 会場=世田谷美術館 区民ギャラリーB 
 出演=赤田祐一(編集者、ライター、元『Quick Japan』編集長)
    楠見清(美術編集者/評論家、元『美術手帖』編集長)
 入場無料、お席に限りがありますので早めにご来場ください

東京展終了後2014年10月15─19日=京都文化博物館に巡回
展覧会詳細=佐々木宏子財団公式ホームページ
アクセス=世田谷美術館ホームページ交通案内
世田谷美術館企画展示室では「松本瑠樹コレクション ユートピアを求めて ポスターに見るロシア・アヴァンギャルドとソヴィエト・モダニズム」を開催中です。あわせてご観覧ください(有料)