書物の畑に種まく人


アメリカの出版社サイモン&シュスターのロゴマーク


岩波書店のマークと同じミレーの「種まく人」をモチーフにデザインされていることは明らかだが、その類似の理由が以前から気になっていた。

サイモン&シュスターは1924年創業。このマークは1961年頃作られたものらしいのだが。


岩波書店は1949年創業。マークは1933年から使われている。どうやら日本のほうが先だったようだ。

「種まく人」のマークについて「創業者岩波茂雄はミレーの種まきの絵をかりて岩波書店のマークとしました。茂雄は長野県諏訪の篤農家の出身で、「労働は神聖である」との考えを強く持ち、晴耕雨読の田園生活を好み、詩人ワーズワースの「低く暮し、高く想う」を社の精神としたいとの理念から選びました。マークは高村光太郎(詩人・彫刻家)の手によるエッチング」(岩波書店ホームページより)


サイモン&シュスターのデザインがなぜ「種まく人」なのかがわからないので類似の理由もまだ不明。ただ、ふと気が付いたのは、そういえばミレーが描いた2枚の「種まく人」は母国フランスではなくアメリカ(ボストン美術館)と日本(山梨県立美術館)にあること。
農耕と出版のイメージ接続のメカニズムは、日米両国のミレー受容のメカニズムに共通する何かがあるようなのだが。