取手アートプロジェクト2008参加

donburaco2008-11-04


取手アートプロジェクト2008(http://www.toride-ap.gr.jp/index.html)に、Do-it-Your Media Center(ドゥイットユア・メディアセンター、以下DiYMC)というユニットを組んで、選考会選出作家の一員として参加しています。

準備に追われ、気がつくと始まってからもう3日経ってしまいましたが、11月16日まで、金土日に開催中。取手井野団地の広い敷地全体を使ってレジデンス・アーティストやゲスト・アーティストがさまざまな展示やイベントを繰り広げます。TAP2008のチラシ/ポスターはこんな。


DiYMCは、僕と大学の教員仲間の久木元拓さんと山口祥平さん、そしてデザイナーの大岡寛典さんを加えた四人組だ。全員そろうとこんな感じ(撮影=舟山貴士)。

エプロン姿はいわゆるDIYの記号として——ホームセンターの店員みたいに——そろえてみたものだが、グループとしてのDiYMCのコンセプトは「美術そのものではなく美術周辺にある編集、文化政策ドキュメンテーショングラフィックデザインなどの手法を融合し、芸術と社会のシステム形成を目指すメディアアクティヴユニット」である。
僕たちはいわゆる絵や立体などを表現手段とするいわゆる”アーティスト”ではないけれど、それぞれの専門分野の知識や技術を集め、ひとつに束ねることによって、アートプロジェクトに匹敵する何かができるのではないだろうか、という実験精神をスタートラインとしている。既存のメディアに頼らず自分たち自身がメディアに——情報収集・発信ステーションになってどこへでも移動して行こうという発想のルーツを辿ると40年くらい前のDiYやバックパッキングの思想や方法論がある(あるいは、ゲリラテレビジョン……)。そう、このやり方は別に僕たちのオリジナルのコピーライトではなく、以前からいろんな人がやってきたことだし、今後だれもが同じようなやり方で違うコンテンツをどんどん作り始めれば、それが一番面白いと僕は考えている。

ちなみに、DiY精神に関しては、今年とても良い本が出版された。
はじめてのDIY 何でもお金で買えると思うなよ! (P-Vine BOOks) 毛利嘉孝さんの『はじめてのDiY』。日曜大工のDIY(すべて大文字)ではなく、アクティヴィティーとしてのDiYについて楽しく解説してくれている。ロックやサブカルといった文化史的な裏付けから、現代日本格差社会を生き抜く思想にまで接続しているのがイイ。以前から思想的にも手法的にも、そして日常生活においてもDIY派だった僕にとってこの本は格別面白く、内容に対して敬意を表する意味でも、本書における小文字(i)まじりの表記をさっそく転用させてもらうことにした。毛利さんありがとう(:

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さて、僕たちDiYMCは取手井野団地で開催されるTAP 2008参加にあたって「団地Utd.(だんちユナイテッド)」と名付けたプロジェクトの旗印のもと、メンバーそれぞれが企画を同時並行的に動かしてきた。僕はこんなチラシをまいて、団地にお住まいの方のお宅を訪問しては古いアルバムを見せてもらいながらお話をお伺いしたりと、なんだか編集記者みたいなことをしていた。


僕の場合は一言でいうなら「アノニマスかつパブリックなファミリー・アルバム」のようなものが作りたいのだが、それについてはまた機会を見つけて書くことにしよう。
この企画のほかにもメンバー個々のアクティヴィティーが結集したかたちで、いま会場の取手井野団地内で展示とイベント開催を行っている。

団地の中には昔からのショッピングセンターがあるのだが、いまは床屋さんとパン屋さんを除き見事にシャッター商店街となってしまっている。近年、東京芸大の働きかけで「INOアーティストヴィレッジ」なるアトリエ群に生まれ変わったのだが、この片隅にある旧常陽銀行跡が、会期中はみかんぐみの設計によるカフェ(Cafe Tappino)にリノベーションされていて、そのカフェの一角に「ドゥイットユア・メディアセンター取手井野団地ステーション」をオープンさせた。美術的なインスタレーションというよりは、スタッフがお客さんと話をしたりする出展ブースみたいな機能そのままだ。ちょっと図解してみよう。

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会期中あと2回の週末(11月9日、15日)に、カフェ会場でイベントVol.1、Vol.2を開催します。フライヤーはこれ。