本当は電子ブックで読みたいマクルーハン！

『メディアはマッサージである』の日本語版再刊（河出書房新社）について『リアルデザイン』3月号に書評を寄稿した。題して「“電子メディア時代の予言者”マクルーハン生誕100年──メッセージをマッサージに変えた魔法の書をあなたの手に」。

日本語版は可読性を重視してだろうか大判に拡大したものだが、この判型も文字組も訳文も1968年版をそのまま復刻したものだ。正確には1995年にも同様に再刊されているので今回は3度目のエディションにあたるが、今回の再刊では表紙のデザインも今回1968年の日本版にならったものに戻されている。初めて見た読者は書体や組版に古くささを感じるだろうが、ある意味これは日本におけるマクルーハン受容史をたどる上で貴重な史料といえる。

もちろんオリジナルのペーパーバック版《The Medium is the Massage》の手に取ったときの感触は捨てがたい。

書評でも触れたが、本書はマクルーハンの著作というより編集者のジェローム・エイジェルとグラフィック・デザイナーのクエンティン・フィオーレによる言語と画像のリミックス作品として今も色褪せていない。
”電子メディア時代の予言書”として、今まさに電子ブックリーダーで読み直してみたい本のひとつだが、そのときは新訳（門林岳史訳を希望）と新たな日本語フォントによる組版デザイン（グルーヴィジョンズを希望！）でのリリースが相応しい。……この夢、叶う日はくるか？

新装版　メディアはマッサージである

Real Design (リアル・デザイン) 2011年 03月号 [雑誌]

学生諸君には以下も併せて読むことをおすすめしたい。
最新メディア論からマクルーハン研究への大胆なアプローチショット。見事オン、イエー！
[rakuten:book:13280286:detail]
グールド、ケージ、ジョン・レノン。フラーにパイクにマクルーハン！　芸術ミーハー心、ざわめく。

マクルーハンの光景 メディア論がみえる [理想の教室]