あたらしい本のつくりかた

ウェブ上で本をつくるというコンセプトで「BCCKS(ブックス)」のプレビュー版の公開が始まりました。
ホームページはココです。クリック>BCCKS



トップページが本屋さんの棚のようになっていて、表紙をクリックするとどれでも閲覧可能。マウスでスクロールもできるし、「NEXT」をクリックすれば見開き単位でスムースにビューイングできる。ストレスもなく仕掛けとしてとてもよくできている。
現在は見るだけだが、今後正式オープン後は、こういった本をユーザー自身が手軽に作れるというサービスが始まる。


僕の本もあります。
タイトルは『Sound from the age of the atom アトムの時代のサウンド』。
上のトップページ画像にも小さく映ってますが、表紙をデーンとお見せしましょう。

中のページはあえてここでは見せないでおきますね。せっかくなのでぜひBCCKSのページに行って、自分でマウスをいじりながら「座り読み」してみてください。
『アトム時代のサウンド』閲覧する



ちなみに、この本は僕自身にとっては1994年に編集者として編集した『アトムの時代』の続編というか、サイド・ヒストリー的な書物といってもいい。
現実の本にするには予算的あるいは技術的に難しいものでも、このBCCKSならばウェブ上で編集と出版ができてしまう──そんな企画のサンプルとして、20世紀末に自分がつくったフィジカルな(実際の・物質的な)本に対して、21世紀のバーチャルな本で返答をしてみたつもりだ。


新しい出版メディアとしてのBCCKSはまだ実験段階としてデモンストレーションを始めたばかりだが、可能性に溢れ期待が未知数に膨らむ印象は、かつてインターネット出現以前の90年代前半にやはり松本弦人のディレクションでデジタローグからリリースされたフロッピー・ディスク文庫「マッキントッ書」を思わせる。おそらくは彼自身の中にも今回はそんな原点回帰の強い意志がみなぎっている。
ゲントさんは早くからデジタルに移行したエディトリアルデザイナーのひとりだが、デジタル・メディアが一般に普及した今になってあらためてわかるのは、むしろそんな彼こそが誰よりも強く、一貫して「書物」にこだわり続けているということ。これは意外な盲点だったかも──そう、彼は本のフィジカルな側面よりも、そのスピリット=魂をずっと保持しようとしている。